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KakeraBankPress|VOL.27

「松永澄夫」 哲学者

カケラバンク:僕達が今、最も興味を持っている方に取材をするこのコーナー。今回のゲストは、スタッフの母校の恩師「松永澄夫」さんです。話は「価値感」に辿り着きました。 

 

~常識~

─幹也 : 初めまして。以前から哲学には個人的に興味があり、いつか専門家の方とお話しが出来たら良いなと思ってまして、こういう機会を頂き嬉しいです。

─松永さん:以前頂いた「半径1mの温度」聞いてますよ。「腕枕」が入ってたね。

─弘:わぁありがとうございます! あれは結婚される新郎新婦のお2人に向けて作った曲なんです。

─松永さん:へぇそうなんだ。その後お子さんに向けた曲に繋がってましたね。

─幹也 : はいそうなんです。現在松永さんがされてる「哲学」とは簡単に言うとどういう事でしょう。

─弘:日本では「哲学をするのではなく、哲学をしている人を、研究している哲学者」が多いと何処かでお聞きしたのですが。

─松永さん:ヨーロッパでもそうです。

─幹也 : 本当の哲学者とは「オリジナリティ」って事ですか?

─松永さん:そうですね。

─弘:哲学に詳しくはないのですが、哲学とは当たり前の事をあぁでもないこうでもないと考えるという認識ですが。

─松永さん:僕等が考えている事にどういう事情で辿り着いたかって事を調べるんです。何でも理由があって出て来るじゃないですか。その理由を考えて考えて知れた時に、変な常識からおさらば出来るかもしれない、見直す事が出来るかもしれない。


~感受性~

─幹也 : 高校生の頃から哲学を研究したいという想いはございましたか?

─松永さん:元々理学部なんですよ。大学三年の時に社会学や経済学を知って面白いなぁと思い、最終的に哲学を勉強しなアカンなと思った。で迷って40歳までにいい仕事をしてから、哲学の道に進もうと。哲学は人生の問題だから色々経験を積んでからでも良いかなと。

─弘:言葉や音についての本も出されてますよね。

─松永さん:うん。言葉は一番だから。今度出すのは『価値・意味・秩序』って本で。例えば「バングラディッシュ」の国旗(緑地に赤丸)を見た時に、真ん中の赤が独立の時に流した血だって事を戦った世代の人は分かる。或る感情も湧き起こる。だから同じ国旗を見てもその意味を生きてる人とそうでない人で、強く属しているか、ゆるく属しているかに分かれる。

─弘:僕と幹也君も育って来た家庭環境が全然違うので、同じ映画でも泣いた泣かないって事がありました。感受性が違うと価値感が違うし見てるモノの意味も変わりますよね。

─松永さん:同じ唄を聞いても個人的な違いがあるから、周りの人との繋がり方は「フワフワしてる」。お金とか制度は誰だって理解できるけど。

─弘:唄は「制度」ではないですね。

─松永さん:唄は「文化」の方ですね。

─弘:そう考えると一億人に伝わる唄なんて難しいですね。

─松永さん:伝わるといっても一人一人に伝わり方が違うのが当たり前と思ったらいいじゃないですか。同じように伝えたいと思っても無理な話で、二人の中でも違う訳だし。それは構わないんですよ。

─幹也 : じゃあ「名作」って何なんですかね。一部の人が良いと言ったから僕等もそれに倣って「名作」って思うって事なんでしょうか。

─松永さん:そういう「慣れ」もあるかもしれないですね。何回も聞いてる内に慣れ親しむ事もありますから。「名作」と言われるものだってつまんないと思うものもあるし、自分が好きか嫌いか、見てて楽しいかどうかで良いんじゃないですか。音楽でも、いつでも良いなって思うものもあれば、気分で変わるものもある。

─幹也 : 今日はそれぞれがそれぞれを尊重する事の大切さに改めて気付きました。ありがとうございました。

松永澄夫(まつながすみお)

 

人が関わるあらゆる事柄の基本的筋道について、言葉による地図を作成することを目指す。伝統的哲学が育んできた諸概念や言葉から自由になって、日常の言葉で、一つ一つの語にあらためて適切な内容を盛り込みながら叙述してゆくことを心がけている。

直近の出版物:『風の想い―奈津―』春風社、2013年9月。『価値・意味・秩序』東信堂、2014年1月。文章が高校の国語教科書に掲載。