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KakeraBankPress|VOL.2

「きゃず」さん ライブハウス「四谷天窓」

対談ゲストをお迎えして様々なお話しをするこのコーナー。記念すべき第1回目はカケラバンクが2010年9月19日に初めてお世話になり、高田馬場駅前の雰囲気や店内のアットホームな空気、スタッフ皆さんの親近感に好感を持ち、2011年から定期的にワンマンライブをさせて頂く予定のライブハウス「四谷天窓」で、約9年間制作・ブッキング等を担当されている「きゃず」さんをお迎え致しました。

 

─幹也:まずは四谷天窓に入ったきっかけから教えてください。

─きゃず:四谷天窓がオープンして1年経った頃に、音楽の専門学校でコンサートイベント科の音響コースを卒業しバイト募集のチラシを見かけて、試しにと気軽な気持ちで入りました。

─幹也:僕も2年間京都でライブハウスの店長をして嫌な事も楽しい事も経験させて貰ったんですが、ライブハウスで9年間働いてみて、きゃずさんが日常で「シアワセって感じる瞬間」ってどんな時ですか?

─きゃず:やっぱりライブハウスや私生活で人の笑顔を見れた時や寝ようと布団に入った時ですね。

─幹也:笑顔・・・。僕達は学生時代から社会に出て、そして東京に出て来た事で価値観が随分変わったんですが、きゃずさんは学生だった9年前と今とで、こぼす笑顔は一緒ですか?

─きゃず:時と場合によりますが、ライブを見てる時は同じ笑顔になれる瞬間も沢山ありますよ。

─幹也:そんなライブを沢山見ていられていて、ここ9年間でライブの出演者の変化はありましたか?

─きゃず:ゆずさんのようなユニットが減って、ソロの決して明るいとは言えない切ない弾き語りの方や社会的な事をただ「聞いてくれ!」って演奏される方が増えた気がします。

─幹也:何ででしょうね?皆と楽しむ事よりも「俺の事を知ってくれ!見てくれ!」っていうストイックさだけを重視してしまってるんでしょうか?

─きゃず:こういう事がしたい、こういう風になるぜっていう欲望むき出しな方が減った気がします。

─弘:ミュージシャンも草食系?情報化社会になって単純に頭が良くなって「武道館でやりたい!」っていう夢が描き難い時代になったんかな?

─きゃず:メジャー以外にも音楽出来る世界があったり、メジャーの方の生活もリアルに見れたりするので、メジャーだけが目標じゃなくなったのかもしれないですね。

─幹也:「夢が描き難い時代」についてミュージシャンとライブハウススタッフは深く話したりしますか?

─きゃず:場合によりますね。ただ色んな事で悩んでいるミュージシャンは多いので、私は話を聞いてあげるようにしています。

─幹也:以前僕達が出演してた大阪のライブハウスでは、ライブ後に出演者全組で反省会をみっちりする場所があって、最初は戸惑いましたが、徐々に自分達が普段考えないような箇所に突っ込まれて「考える事の良さ」を分かり始めた経験が僕らにはありました。

─きゃず:出演者全員で反省会をする事はないのですが、それは必要な事でしょうね。意見を求めている人には、「こうしたら良くなるんじゃないかな?」と私なりの意見を伝えます。いつでも誰にでも深く突っ込むスタッフもいるので役割分担はしています。

─弘:良くなるように?「良いミュージシャン」とは何でしょうね?

 

─きゃず:「良い」って言うのも人それぞれですよね。私が言えるのは音楽の基本的な部分、音程の事や技術的なことが多いですが。そんな事を抜きにしても魅力あるミュージシャンは沢山いますよね。

 


ライブハウス「四谷天窓」でおこなったインタビューは、長時間に渡り熱く語り合った。

─幹也:個人的に僕は、「コミュニケーションをはからない独白的なライブをするミュージシャン」を良いアーティストとは言えないんじゃないかと思います。それをライブハウスは、回転寿司的にサービスだけを提供するのか、カウンターのある寿司屋さんのように会話をして行くのか、どちらが良いんでしょう?

─きゃず:私達はカウンター寄りでしょうね。

─弘:その中で「成功」のモデルや例が多様になった時代でミュージシャンも模索してます。

─きゃず:基本お客さんに魅力的なライブをして欲しいですね。音楽が良くてもお客さんを呼ぶ努力をしない方は家で歌えばいいとは思います。お客さんから空気が出て来てそれに気持ちを返して行くから「カラオケ」とは違う「ライブ」って言うんだと思うんです。

─幹也:僕らは京都で毎月ワンマンライブを2年間継続してた時期がありました。その経験で、本当の「ファン」の数に気付けたんです。半年に1回ワンマンをしても友達や親戚家族等が義理で来てくれますからね。でも毎月ワンマンをすると本当にお金を払う価値があるかどうかを見極められます。だから自分達にも「危機感」がつのり、ライブ音源を録って反省会をしたり、次の企画を真剣に会議したり、色んな場所で新しく自分達を知って貰おうと営業したりと努力をしてました。ミュージシャンも飲食店と同じ自営業だと思うので。違う点は「生き様」がメニューの中で目玉だって事ぐらい。

─きゃず:なぜ音楽をやってるのかなって事を考えない、もしくは「プロ」になりたいけどどうしたらいいんだろうって事などを言葉にして伝えない若者が増えたのかな。

─幹也:「草食系」って言葉では言い切れないですが、自分の世界に入って来て欲しくないから、相手の世界にも入らないって感じなんでしょうね。20歳の頃僕もそうでした。だけど勝手に「プロ」になる夢は描いてました。だけど30歳なってプロになれなかったら辞めるって家族に宣言して音楽活動の許しを得てたので「不安」もありました。でも「プロ」とは何でしょうね?

─きゃず:ライブハウスのプロとは「人の気持ちを考える事=人を喜ばす事、人に満足して貰う事が出来る人」でしょうか。

─弘:でも最近ライブハウスが増えたからなのか、ライブハウスに行く人が減った気がしますが?

─きゃず:不況?でも好きなモノにはお金は出すと思います。友達ばかりを呼ぶミュージシャンもどうかと思いますが、友達さえも呼ばないのか呼べないのか、そういった方も多くなってますよね。ライブの場所も考えずに回数を沢山してしまってるとダメかもしれないですね。

─弘:さっき出た「情報が多いから頭が良くなってる」世代なのに?

─幹也:きっと経験もしてないのに情報だけを得てるから違う?「知ってる」と「分かってる」の違いちゃう?テレビで恋愛ドラマ等を見てるけど恋愛をしてないのに恋愛を語ってるのは「間違い」ちゃう?話が長くなりそうなのでここら辺で最後の質問です。そんな世代の方達が増えて来た中で「今後のライブハウスの役割」とは何でしょうか?

─きゃず:休みの日もライブに行くぐらい私は音楽が大好きなんです。こんなに楽しい場所があるのに「もったいない」と思うので、ライブハウスを生活の一部にして「居場所」に欲しいですね。「ライブはビタミン」。人間はビタミンを体で作れないのと同じで、ライブっていう1人じゃないホッと出来る場所で元気を貰える場所にして欲しいですね。

─弘:最後にもう1つだけ。初めてカケラバンクを見た時どうでした?ぶっちゃけ。

─きゃず:う~ん・・・何て言えばいいのかな。・・・風?熱風が吹きました!自然に体中で音楽してるなって感じました。

─弘:嬉しいですね。普段ライブでしか味わえない「空気感」は大事にしているんです。心と体は別物じゃなく一緒なんだと分かる場所ですから。

─幹也:頭とか体とか2元論じゃなくて、腕が勝手に鳥肌を立てたりゾワーって出来るのが「ライブ」ですもんね。上京するまで東京って、どこの駅前の風景も殆ど一緒の中で、高層ビルで働いてる人にとってそういう「ライブ」は必要ないぐらいコンクリートジャングル文化に慣れ親しんでいるのかなって思ってました。でも多くの人が反動でやっぱり「自然」を求めているんだって事を知りました。

─きゃず:私も休日は海を見に行ったり、大阪・滋賀等に「自然」を感じに行きます。ライブも「自然」の空と同じで、毎日違う表情がありますから、私みたいに「音楽を日々心の栄養」にして欲しいですね。

きゃずさん(29):初めて買ったCD「DREAMS COME TRUE」の「晴れたらいいね」/初めて行ったライブ「XJAPAN」/ハマッてるミュージシャン「GRAPEVINE」

四谷天窓:2001年・4月、四谷にオープン。 2008年・8月に高田馬場へ移転。 四谷天窓の基本的なコンセプトは「アコースティック」。 ギターの弾き語りはもちろん、アップライトタイプのピアノも完備。 客席は基本的に全て着席の自由席です。 お座敷のあるゆったりした空間でおくつろぎください。選りすぐりの乙類焼酎も取り揃えています。

四谷天窓ホームページ