カケラバンク : 僕達が今、最も興味を持っている方に取材をするこのコーナー。今回のゲストは、「林明日香」さんです。話は「良いライブとは何か」に辿り着きました。
─幹也 : 今日明日香さんとお会いするのは初めてなんですが、実は昨年9月の「暗闇トリップvol.4」の直後に出演者の玉城ちはるさんに「林明日香さんが見に来られてたよ」って聞いて「あの林明日香さん?」って聞いたら「そう、あの」って言われたので、即効次回出演して頂こうと連絡先を教えて貰って、今回共演並びに対談まで承諾して頂きました。ありがとうございます。
─林さん : ライブハウス「JZ Brat」の方に玉城ちはるさんを紹介したいと言われ、あのイベントに行ったんですが、泣いてしまって「これ次出たい!」って思ったんです。
─弘 : ありがとうございます。ずっと唄歌いになりたかったんですか?
─林さん : 唄は凄く好きだったんですが、歌手になりたいって訳ではなくて、マクドナルドの店員さんか幼稚園の先生になりたかったんです。きっかけを貰ったのが小学五年生の時で、音楽にも殆ど触れてなかったんですが、運よくお仕事させて貰うようになりました。
─弘 : 五年生からお仕事!?その時の記憶なんて吉村先生ぐらいやわ(笑)。
─幹也 : 小学生の頃なんて内気で人前大嫌いやったし、俺は自我さえ芽生えてなかったわ。
─林さん : シャイやった人が表現者の方には多いですよね。私もです。よく「歌え」って言われる度に泣いてました。
─弘 : そうなんですね。デモテープか何かがきっかけで?
─林さん : ピアノの先生のデモ音源の仮唄を歌ったらCM会社の人に気に入って貰ったんです。でも当時は悩んでました。
─弘 : 何かあったの?
─林さん : 今この年齢になってやっと昔の唄に追いついて来ましたが、当時は言葉も凄く難しい美しい日本語が多かったので。
─幹也 : 僕は過去の唄を、自分の唄やけど「カバー」する感じで歌うようにしてるかな。それから最近思うのが、「唄」って口からだけじゃなく腕やお腹からも出てるなって思うんです。
─林さん : あっそれ先月ニューヨーク行った時感じたの!向こうの人は「唄を歌ってない」んです。唄を「出してる」感覚に近いのかな。
─弘 : 出してる?
─幹也 : 分かる!歩いたり走ったりすると勝手に体重減るやん?エネルギーって目に見えないけど体から常に出てる。それに唄も近いのかも。
─林さん : ちょっと前まで歌う事に必死だったんです。歌唱力を見せようとか上手く歌おうとか思ってたけど「暗闇トリップ」見た時にシンプルな事に気付かされました。そして再確認する為に本場ニューヨークに行きました。
─幹也 : え?「暗闇トリップ」きっかけでニューヨークにトリップしたんですね!(笑)
─弘 : すごいなそれ!
─林さん : アメリカでは素晴らしいホイットニーとかの真似をしても「グッジョブ!」で終わってしまう。それよりも自分の個性で心から歌った時に拍手を貰えるんですよ。
─弘 : 技術に走らずに魂を出そうと思ったんですね。
─幹也 : その魂を出す技術を掴めました?
─弘 : そうやって考えるのを止める事やろ!(笑)
─幹也 : 確かに。良いライブの時って観客が少し前のめりになるもんな。あの時、歌い手が「無」になっててステージが「ブラックホール」になってるんちゃうかなって思った時があって、目の前の人達がそれに吸い込まれてるんちゃうかなって思った。だから「良いライブ」って歌い手が「無」になったライブなんかなぁって最近思う。だからステージでは自分の感情を無理に上げ下げしないで自然体でいる事を大事にしてます。
─林さん : イェイ!(幹也とハイタッチ)
─弘 : いやいや幹也君だけじゃなく俺もそれ思ってるよ!
─林さん : イェイ!(弘とハイタッチ)それを「暗闇トリップ」で気付かせて貰いました。声に触れる機会ってそんなないじゃないですか。
─弘 : 「声に触れる」っていい言葉ですね。生音は全身から出てる音を全身で受け止めて貰えますからね。ジャンベの音も会場を包める所が「暗闇トリップ」の好きな所かな。
─幹也 : それプラス最後の四組による360度コラボは、前方からだけじゃなく背中側からも声や音が聞えるので体全部がセンサーになってるもんね。
─弘 : 神社で手を合わせた時音が鳴るやん?あの時意識が両手じゃなくて音の鳴ってる向こうの神棚に行ってんねん。向こうを泳いでる感じになる。音速(一秒340m)で自分が移動出来る感じ。
─幹也 : 音に自分が乗ってる感覚ね。
─林さん : 分かる!
─幹也 : それを「精霊」って言うんかもな。
─林さん : 心にすぐ触れる事が出来るのが声であり音ですもんね。音は時空も越えるから、そこに意識を持って行ってライブをしたらいいんでしょうね。
─弘 : 意識を集中する事ね。
─幹也 : そういった事は古代の人達が普通にやってた事なんでしょうね。だから僕等はもう1回原点に戻る事を意識して行かないといけないですね。大事な事を気付かせて貰いました。ありがとうございました。
林明日香(はやしあすか)
12歳で受けたピアノの個人指導の歌声がプロの耳にとまり、弱冠13歳の2003年1月22日シングル「ake-kaze」でデビュー。
続くファーストアルバム「咲」では日本、台湾、香港、中国で同時リリース。
2007年3月21日にリリースされた「心のままに」はNHK朝の連続テレビ小説「芋たこなんきん」挿入歌になり、また劇中でミュージシャンを目指す女学生役として女優デビューを果たす。
2008年5月台湾へ留学/2011年帰国/2012年吉本興業100周年記念公演「吉本百年物語」6月公演に出演。
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